2016-06-06
直噴エンジンは、走行距離が増すとスラッジ(燃料などの燃えカス)が溜まってそのうち不具合を起こすのが定番です。
最近R56系のバルブで、上の画像のようにスラッジが団子のように固着してトラブルが起きている話題を方々で聞きます。
写真のインテークバルブからシリンダーに空気が送り込まれるのですが、これだけ汚れが付着していると空気の流れも悪いでしょうし、バルブの密閉度も落ちているでしょう。
実はこの画像のような状態は、2万キロも走れば、ほとんどの直噴エンジンに起こっていると言っても過言ではありません。
なぜこれほどまでに汚れるのか?
一般的なガソリンエンジンは、ご存知の通りガソリンを爆発させてエネルギーを得ています。
今までのエンジンは、空気と霧状に吹いたガソリンを混ぜてからシリンダーに送っていましたので、その混合気がシリンダーまでに付着しているスラッジを洗浄する役割も担っていました。
しかしMINIにも採用されている直噴エンジンは、空気だけをシリンダーに送り込み、ガソリンはシリンダーの中に設置されたインジェクターと呼ばれるガソリン専用の霧吹きから直接シリンダー内に吹きつけて、シリンダーの中で空気と混同させます。
このため今までガソリンが洗浄していた部分にガソリンが通らなくなったため、インテーク周りにスラッジが溜まるという症状が起こりやすくなってしまっているのです。
また、今まではシリンダーの外にあったインジェクターが、シリンダー内にある事から、ガソリンの燃焼にさらされインジェクター自体にもスラッジが蓄積します。
インジェクターは針の穴程の小さなノズルからガソリンをコンピューター制御で点火のタイミングに合わせて緻密に噴射しているため、この部分にスラッジが溜まって噴射の妨げになったり、最悪は穴を塞いでしまうというのが、エンジン不調の原因の一つです。
普段のメンテナンスで不具合を予防する。
そこで私は、少しでもスラッジの予防しようという事で、ガソリンに混ぜるタイプの洗浄剤を給油数回に1度の頻度で入れています。
よく使うのはホームセンターで1本1,000円位で売っているカストロールの添加剤です。
その他では、ワコーズのフューエル1なども有名です。
そして時々、写真のGA-01という強力なタイプも入れています。
スラッジを落とすには、ポリエーテルアミンという成分が、エンジン内部のパッキンやオイルシールへの影響もなく、洗浄効果が高いそうで、それが添加剤にどのくらいの割合入っているかで効果と値段が変わってくるそうです。
GA-01はリンク先のAmazonでも2本で約4,000円と高価なのですが、このポリエーテルアミンが100%という事で効果は期待できます。
数年前からBMWでも純正でガソリンに混ぜる添加剤を販売している事からも、スラッジの蓄積はメーカーも気にしている問題点だと思われますので、皆さんも車のコンディション維持の為にも時々洗浄剤を使われてはいかがでしょうか。
完全にクリーニングするには分解洗浄
ガソリンに添加剤を入れても完全にスラッジを防ぐことはできません。
ガソリン添加剤は、インジェクションへのスラッジ固着には効果を期待できますが、インテーク周りのスラッジには、上で説明した通りガソリンが通りませんので、洗浄剤そのものが届きません。
噴射時にバルブのオーバーラップ等で多少洗浄剤があたる可能性はあるかもしれませんが、あまり期待できません。
また、すでに重度の蓄積の場合は、どの部分であっても洗浄剤では焼け石に水です。
そこで、MINI専門ショップの中では、インジェクターやバルブに蓄積したスラッジをパーツ分解で直接クリーニングするサービスを行っている所もあります。
これは手作業でほぼ完全にスラッジを落とすので、新車時のようなフィールングが戻るとても効果が高いメンテナンスです。
スラッジの蓄積は、時間をかけて徐々に悪化するので、あからさまな不具合が出るまではパワーの低下などに気づきにくいです。
しかし完全にクリーニングをすると、別の車に乗ったかのようなパワー感の違いを感じます。
これが新車時にあった本来のフィーリングです。
最近アイドリングが不安定になったり、エンジンの調子が悪いという方はクリーニングをしてみてはいかがでしょうか?
写真は埼玉県上尾市のMINIショップAGOrdinaryでのインジェクター分解洗浄前と洗浄後の比較です。

汚れたインジェクター(ガソリン吹き出し口)

洗浄したインジェクターの先端には針の先のような小さな噴射口が見えます。

汚れたインテークバルブ

洗浄後のインテークバルブ